放送日:2021年8月24日

「グレアを考える」

 ところで、光の輝く様を表現する言葉に「燦々」と降り注ぐ太陽光、「キラキラ」光る満天の星空、「ギラギラ」と照りつける太陽、「赤々」と燃え上がる炎・・・など、日本語には光の輝く様子の違いで幾つもの異なる言葉・表現が存在します。
 その中でも、「キラキラ」という言葉のイメージは、星空や宝石、水面の輝きなど、その情景から心地良さや美しさを感じますが、一方、「ギラギラ」となれば、強烈な光の輝きで、目を背けたくなるような眩しさをイメージされるかと思います。
 このように、様々な光の輝きの中には観て心地良さを感じるものだけでなく、眩しさのように不快感を伴う光もあるのです。一般生活の中で、このような光による眩しさを感じると、不快感や、物が見えにくくなるといった現象が起こります。このような状態や現象を照明用語(語源:英語)では「Glare(グレア)」といいます。
 そこで今回はこの「グレア」について、「あかり」の観点から考えてみたいと思います。

 では、実生活の中で、このグレアを感じる場面とはどんな時でしょう?
⇒いくつかの例・・・車のハイビーム、照明器具の取付け位置や高さ、光源、などなど
 人の目は、目に入ってくる光の量が多くなると眼球内ではハレーションを起こし物が見えにくくなるため、虹彩の収縮する働きで瞳孔が小さくなり、網膜に達する光の量を自動的に調整し脳にその情報を送るのですが、グレアを感じるぐらいの場面など、急激な照度変化や眩しい光が急に目に入ると、目はすぐに適応することができず、この光体験が脳に送られ、無意識にストレスとなって蓄積していく事になります。
 このような、瞬間的な眩しさによる不快感が長時間続くと、目の痛みやストレスだけでなく、無意識に知らず知らず、頭痛や肩こりといった二次的な障害が起きるケースもあるのです。もし皆さんのご自宅で、光源が視覚に入る位置や高さに照明器具が取付けてあった場合は、ずっと見てるわけでないからと軽視せずに、グレアレスの器具に取替えられたり、照射する方向を変えてみるなどして、光源が直接目に入らないような対策を取られると良いと思います。
 
 実際のところ、照明器具は一度取付けたら中々取替えることはな難しいことと思います。しかし実際に、例え建築に携わる者でも、光害(グレア)に対して無頓着な設計事例が少なくないので、特に新築や改装を計画されている方々は、計画のの段階で設計者の方と「グレア」について検討される場を持つことを強くおススメします。
 また、瞬間的な眩しさだけでなく、最近のTVやパソコンのバックライトディスプレイは思っている以上に眩しい為、暗がりでの長時間の視作業によってグレアの蓄積により眼精疲労の原因になるので、このような長時間の視作業をする際は、その画面の背面や周囲の明るさに注意して、画面の明るさと周囲の明るさとの明度差を極力作らない等の対策を取られるのも良いと思います。

 特に長く過ごす住空間では快適な光環境の創造は必須です。
 今一度、周囲を確認し、グレアレスを意識した快適な空間づくりをお奨めします。