放送日:2021年9月10日

「赤ちゃんに最適な“あかり”とは? その1」

 現在、主流の生活光源として、照明器具はもちろん、TVやパソコン、携帯用端末など、従来あった光源(白熱電球・蛍光灯、他)に変わり、LEDの光を目に入れる場面が、日常化している現状にあり、この光源の変化に伴い、実は私たちの周囲の光環境も生活の中で大きく変化してきています。
 この急激な光環境の変化に合わせ、同じく変化している分野に育児環境があります。
 特に乳児や幼児時期は、人として健康な体や生体リズムを形成していくのに最も重要となる時期であることで、昨今の育児についての情報も、このような光環境の変化に対応した内容が増えています。しかしネットで情報をより多く得られるようになった分、表面上の情報だけのものや古く間違った解釈のものなども中にはあるので注意が必要です。
 そこで今回は、「赤ちゃんに最適な“あかり”とは?」と題しまして、乳児、幼児時期に最適な「あかり」環境とは何か?あかりの観点から考えてみたいと思います。

 まず、赤ちゃんに最適な光環境を考える上で、最も重要なことは、サーカディアンリズム(生体リズム)を整えるということです。・・・さて「昼型の人」「夜型の人」なんて言葉がありますが・・・・自分は「夜型」で朝に弱く夜になると活動的になるという方は、ただ体内時計がズレているだけで、基本、人はすべて「昼型」なのです。
朝起きて、日中(昼)活動し、夜に寝る・・・といった、目から入る太陽光の軌跡に合わせた光環境の情報の中で規則正しく生活を送る事、これが本来、健康に生活を送る為に、最も快適な生活のリズムといえます。
 もちろん、これは赤ちゃんも同じく、朝から夜にかけて太陽光の軌跡による明るさや光色の変化に合った光環境の中で育児を行うことがとても大事な事といえます。

 では、いま生活の中で日常化しているLED光源についてですが、実のところLEDは従来光源の分光分布に比べ青色の光(ブルーライト)をかなり多く含む光であります。ブルーライトは可視光線の中でも短波長域の光として、紫外線に近く大きなエネルギーを持っていること、また光色の観点からも日中の光に分類されることから、特に夜間の使用や照らし方によっては、人の目や体に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。 例えば、日没後の明る過ぎる家庭内照明や、夜間のTVやパソコンなどをしている環境の近くで赤ちゃんが横になった場合、夜間に昼間の光を浴び続ける状態となり、一日のリズムが整い辛く体内時計が狂っていく恐れがあるのです。※特に寝かしつけ時の育児アプリの画面使用はNG

 実は、人の体内時計は母親のおなかの中にいる時から作られ始め、生後間もない赤ちゃんでも、まだ体内時計は24時間に定まってはおらず、数時間のズレがあるとされ、生後6ヶ月あたりでようやく整えられていくことから、毎朝、毎晩、決まった時間に起こしたり、寝かしつけたりして、体内時計を毎日規則正しくリセットをしてあげなければ、11日~13日毎に睡眠覚醒のリズムがズレ、昼夜逆転することになってしまいます。

 そこでこの期間の間に、ある程度生活リズムを整えてあげないと、その後、夜泣きが頻繁に起こったり、乳児から幼児へ成長していく過程においても寝つきが悪くなったり、健康面でも悪影響を与える恐れが高いので注意が必要です。
 
 私も経験しましたが、浅い眠りで昼も夜も関係なく寝たり起きたりする赤ちゃんの育児はとても大変な事で、連日夜泣きされたりすると親にとっては大変辛い事だと思います。
しかしながら、言葉も話せず夜泣きしなければならない状況化におかれた赤ちゃんは、親以上に辛いのだと考え、正しい情報で最適な環境を創ってあげて、この大切な期間に生体リズムを整えてあげることが親の温かさなのだと思います。

 とはいえ、今後ますますLED光源を目に入れる環境は増えていくことから、日々の生活の中で様々な場面に応じて、正しい知識を持ち続けていくことが大事になると思われます。

 そこで次回は、育児をする上で、時々に応じた最適な光環境の創り方やLEDの光に対する具体的な対処法などお伝えしていきたいと思います。