放送日:2021年3月5日

「卒業式のあかり」

 3月は卒業のシーズンということで、今回は「卒業式のあかり」と題しまして、卒業式にちなんだ「あかり」のお話をできたらなと思います。

 私の世代で卒業式の定番曲といえば「蛍の光」と「仰げば尊し」がすぐに浮かんできますが、近年では「歌詞がわかりづらい」だとか「時代にそぐわない」など、様々な理由から歌われなくなっているらしいのですが、実際どう何でしょう?
 また昨年から続くコロナ禍の影響もあり、その対策として人数制限や大勢で歌を歌うような事も控えられ、学校によってはリモートで開催するなど、今までとは様相がだいぶ違っているようです。私事ながら今度、娘の卒業式があり、何だか複雑な思いを感じております。来年こそは「蛍の光」と「仰げば尊し」など卒業式の定番曲を思いっきり大きな声で歌えるような状態に戻ってほしいものです。早い収束を願いたく思います。

 ところで「蛍の光」はもともとスコットランドの歌で、アメリカを経由して明治時代に日本に入ってきた曲らしいのですが、当時の時代背景から翻訳される際、歌詞の意味は変化しましたが、友人との別れを歌う内容ということで、「卒業式の歌」として歌われるようになったようです。また、「仰げば尊し」も西洋音楽を原曲として同じく明治時代に生まれた日本の唱歌のようで、これら当時の唱歌のほとんどは「四七抜き(よなぬき・ファとシのない)」という五音階からなる日本の伝統的な音階で作られており、昔の歌なのに今も好まれている理由のひとつに、古来より日本人の持つ情感を高める音階といいますか、日本人の心の琴線に触れる点にあるのかもしれません
 歌詞の意味はともあれ、このような情感高まる曲を「卒業式」で歌えば思い出も浮かんできたりして感極まるのも当然かもしれませんね

 さて、おそらく卒業式を行う場所といえば、ほとんどは、「体育館」だと思われます。
 卒業式や入学式を迎えるにあたって、照明設備のリニューアルをされた学校もいくつかあると思いますが、従来までは体育館を照らす照明といえば、メタルハライドランプや高照度のLEDランプなどの明るく煌々と上から照らす「青みがかった白色の光」がほとんどだったのですが、最近の体育館では、白色の活発な光だけでなく電球色のような和らいだ光りを体育館の照明に取り入れる学校も増えているようです。・・・理由は?・・・
 照明の色は人の感覚や感情をつかさどる交換神経や副交感神経に大きく影響を与える効果があるといわれていまして、電球色など温かい光の色だと副交感神経系の働きによりリラックスした落ち着いた気持ちになりますし、逆に体育館ように、天井から青みがかった白い光に明るく照らされる光環境の中では、交換神経の働きにより神経が活動的になり感情豊かになる作用が働きます。
 つまり、卒業式の体育館の照明は、厳粛な雰囲気の中、情感高まる卒業式の曲を歌って、思い出に浸り優しく感情を高めて涙するには、理想的な光環境といえるかもしれません。
 少し話に無理を感じますが(笑  

 何はともあれ、今年、卒業を迎える学生の皆さん、そしてお父さん、お母さん、ご家族の方々、ご卒業、誠におめでとうございます。卒業式で流す涙ほど素敵な涙はないと思います。皆さんにとって心に残る素敵な卒業式をお迎えください