放送日:2019年8月9日

「これからの照明計画 その1」

 暮らしの快適さや魅力を高める為、今回から何週かに分け、「これからの照明計画」と題しまして、主に住宅における照明の在り方・考え方などお伝えしていけたらと思います。

 街のランドマークやシンボリックな建物以外にも、近年、用途を問わず商業施設などで広く、空間の快適さや魅力を高める意図で、照明計画を設計の段階から組み込まれるケースが増えてきております。しかしながら住宅の照明計画に関しては、今も、その多くが電気設備工事の一部と捉えられる傾向にあり、まず「明るい」ということが唯一の基準で、少ない器具台数でより明るいことが経済的と考え、1室に1灯部屋を万遍なく照らすような白く明るい蛍光灯を多用することが好まれてきました。
 もし、雰囲気を演出する場合であっても、普段使う天井照明にただ追加するように無駄な位置に照明を複数取付け、より明るさを求める考え方は変わらず、それによる明る過ぎることの不快感に対しても、無頓着だったと思われます。
 戦後の高度成長期以降、人々の生活レベルも上がったことで、建築やインテリアへのこだわりも高くなり、建築意匠の選択肢の幅も増えてきているのに比べて、照明は未だに、建築空間との調和を図らずに、天井照明による「1室1灯」の形が大部分を占め、その光環境の質の悪さに無関心な現状を多く感じます。

 ただ天井照明が悪いということではなく・・・

 生活スタイルの多様化による建築やインテリア変化に合わせ、より暮らしの中に寛ぎや癒し、快適性などが求められていく中、多様で質の高い照明が重要になってくるのです。

来週も引き続き「これからの照明計画」と題して、次回は、あかりの質を高めることで、暮らしにどういった変化がもたらされるか?など・・お伝えできればと思います。