放送日:2018年7月27日

「子供部屋の光」

 現在、LED照明やスマートフォン・TV・PCに使用されるディスプレイなど、これらデジタル光源の急激な普及によって、我々を取り巻く光環境も急速に変化し続けています。
 中でもLEDに代表されるこれらデジタル光源は、目に刺激を与えるとされるブルーライトの比率が高いとされ、従来の光源と比べてみても、目の健康に対して配慮する必要性が増しているといえます。
 特に成長過程にある子供の目と光の関係は、生涯にわたって目の健康に非常に影響を及ぼす内容であることから、これら光環境の変化に応じて大人が正しい知識を持ち、子供に良い光環境を提供することは子供の健康を守る上でも重要な事柄といえます。
 以前、生後まもない赤ちゃんの時期から幼児期にかけて、それぞれの成長段階に応じた最適な光環境のお話をさせて頂きましたが、今回はその続編としまして、小学校に上がった頃、学童期に最適な光環境とはどんなものか考えてみたいと思います。

 子供も小学校に上がった頃から親の目を離れ子供部屋で過ごす時間も増えていきます。その子供部屋の用途といえば、主に勉強と睡眠になるでしょう。では、それぞれのシーンに適した光環境とはどんなものか考えていきたいと思います。
まずは、勉強が快適に行える光環境づくりの基本としては、窓の向きや配置によって違いはありますが、直射日光が当たらない場所に机を設置することが基本となります。日々の直射光による照り返しによって目を傷める原因にもなります。
 また、最近のような猛暑日は特に窓からの熱をもろに受けることで気力も減退しがちです。その為、日中勉強をする際は、直接日射を受ける南側・西側の窓に向け机を配置することを避け、窓には光を透過するカーテンやロールブラインドを使用し、柔らかな光を部屋全体に拡散させることで、手元を照らすタスクライトとの調和も取れ、目に優しく勉強を行なえる光環境が出来上がります。夜間おいても同じように、机の照り返しや明暗のコントラストが大きくならないように、均一に部屋全体を適度に照らす照明と、机の上で勉強する為の手元を明るくする照明を併用して、それぞれに最適な光環境を創り上げる必要があります。その際、大人が照明の位置・角度・明るさなど、光の調整に関して適切にアドバイスをして、時間帯や環境の変化に合わせ子供が自分で心地良い光環境を調整できるようにしてあげたいものです。
 また、睡眠中には成長に必要なホルモン分泌がされ、自律神経系の発達に深く関わることからも、質の良い睡眠を得ることは成長過程にある子供とっては非常に大切な事柄になります。そして質の良い睡眠を得るには、光環境が大きく関わります。

 睡眠中は部屋の照明は消して光を目に当てないようにします。わずかな光でも目は調整をし続け、疲れてしまうと考えられるからです。そして最も重要なのは就寝前の光環境です。就寝前は、しっかり明るさを確保する勉強時間の光環境とは異なり、夕日のように赤みを帯びた電球色とした適度な明るさの温かみのある光環境で過ごす時間を持つことが大切になります。
 人は日中の明るい光から夕暮れ時の光に環境が変化することで、目から入った光の情報が脳に伝わり、夜が近いと認識し副交感神経が働きはじめ、自然と身体が就寝をする準備をはじめます。その為、就寝の直前まで昼間のような白く明るい環境で過ごし、いざ照明を消して寝ようとしても、なかなか寝付けず、ホルモン分泌が不十分で安眠を妨げる結果となります。夕食後やお風呂から上がった頃から就寝までの間は出来るだけ、白く明るい光を避けて、電球色の適度な光の中で過ごすように、日々の生活の中で、大人が光の調整を進んで行い快適な光環境づくりを習慣にすることも大事かと思います。

 子供部屋の光環境は、子供の心身に大きな影響を与える大事な要素になります。光のコントロールを賢く行って子供の活き活きとした健康的な生活を実現したいものですね。