放送日:2018年7月13日

「花火の光」

 今回は夏の夜空を彩る夏のあかりの風物詩「花火の光」のお話をしたいと思います。

 毎年、この時期、皆さんの中にも各地で行われる花火大会を楽しみにされている方も多くいらっしゃると思います。

 諸外国では冬をピークに年間を通じて消費されている花火ですが、日本では今頃から8月末にかけて、催される花火大会のそのほとんどが夏に集中しており、その他の季節はあまり需要がないようです。・・・花火といえば夏といったイメージがありますよね
 その理由のひとつに、かつて納涼開始を祝うとともに水難者の供養や水難事故防止を願う水神祭を兼ねた行事「川開き」に使用されていた名残だといわれています。

 その昔、江戸時代の頃の「川開き」で最も規模が大きく有名だったのが、江戸幕府8代将軍・吉宗の時代から両国で行われていた「川開き」らしく、玉屋と鍵屋が両岸に分かれて競って打ち上げる美しい花火を江戸の多くの人々が楽しんでいた記録も残っています。 当時屋形船1艘あたりの利用料が5両(約40~50万円)だったにも関わらず、この頃描かれた浮世絵に、川面に無数の船が浮かんでいる「川開き」を描いたものがあり、かなり特別な娯楽のひとつだったと思われます。
 現在では隅田川花火大会という名前で親しまれ、毎年100万人近い人出がある夏の風物詩となっています。
 ところで、近頃の花火って進化しているなと感じませんか?
 大きさや広がりだけでなく、飛散するタイミングや明るさ色、形、また音を同調させるものなど多種多様に趣向を凝らした花火が増えており多くの人々を楽しませています。
 このように現在、技術の発達で様々な花火の表現も増えているようですが、あの大きな音の迫力と、華やかに輝いて瞬時に消える光の儚さをあわせ持つ日本の夏花火の美しさは、今も昔も人の情感を高めて感動を与えてくれる、日本人の美意識が創り出した文化であり、世界に誇れる伝統芸術のひとつになるのでしょうね。
 
 とにもかくにも、日本各地で毎年この時期に行われる花火大会、先程お伝えした「隅田川花火大会」のような全国的にも大きなイベントから、地元に根付いた親しみある花火大会まで、規模や内容も様々ありますが、それぞれに良さを感じます。それらは昨今のデジタル光源を用いた大規模なイルミネーションだとしても決して真似のできない迫力と自然発火の妙による感動と美しさがあります。
 日本人の心に響く、夏の贅沢な光と音の饗宴「花火大会」大いに楽しみたいものです。