放送日:2018年7月6日

「蛍の光」

 7月に入り、寝苦しい日も続いておりますが、皆さん暑中いかがお過ごしでしょうか?
 7月初旬からこの暑さとなると今年の夏はどうなるのかと、思いやられます。
そんな暑い夏の夜の間にだけ見られる、ゆったりと優しく点滅しながら飛び交う幻想的な光に、蛍の光があります。
 綺麗でゆるやかな流れの川の水際で仄かに点滅する蛍の光は、見ている者を魅了して、暑さを忘れさせ、一時の涼を誘う、日本の夏を彩る「あかり」の風物詩といえます。
 そこで今回は、夏の夜のあかり、蛍の光について少しお伝えできればと思います。

 日本には40~50種程の蛍がいるといわれていますが、富山でもよく見られ、より光る蛍にゲンジボタルとヘイケボタルがいます。この2種類の蛍を鑑賞できる時期が6月~7月頃の間で見られるようなので、今がまさに蛍を鑑賞するには絶好の時期になるようです。
 
・・・ところで、蛍はなんで光るかご存じでしょうか?

 主な目的は「求愛などのコミュニケーションの為」だと言われており、一般的に活発に飛びまわるのがオスで、メスを探す時に点滅発光するようです。成虫の寿命が1、2週間という短い期間なので、この短い間に求愛行動を必死にしていると考えると、美しい光の乱舞の裏に儚さと共に親しみを感じてしまいます。
 蛍は、おなかの発光器の中にある発光する物質(ルシフェリン)と、発光を助ける酵素(ルシフェラーゼ)があり、これらと体の中の酸素が反応して熱を持たない発光現象を行うようです。その美しく点滅する光り方は、余韻を残し見る人に心安らぐ癒しの効果があるとされています。
 
 私が幼少の頃は富山市の中心部でも、蛍をよく見かけ手の平の上で優しく点滅する蛍の光を楽しんだ事を思い出します。
 しかし残念ながら今では、街中で昔のように蛍を見られなくなりました。
その要因は様々ありますが、主に都市整備の過程で街を流れる小川なども減り環境も変わったことで、悲しいかな・・・きれいな水のあるところに生息する蛍にとって街中は住みづらい場所になっているのでしょう。しかしながら現在、このような現状を憂い、日本各地で環境改善の試みがされ始めてはおり成功した場所も数多く生まれてはいるようです。
 
 特に、他県に比べてもゆたかな水環境をもつ富山県では、まだまだ蛍を鑑賞できる名所も数多く点在しているようなので、暑い今年の夏は、大切な方やご家族などとご一緒に、一時暑さを忘れさせてくれる夏限定の「あかり」蛍の光の観賞に出かけられて、心に郷愁を呼び起こす素敵な夏の思い出のひとつに加えてみてはいかがでしょう。