放送日:2017年5月26日

「アンニュイなあかり」

 ところで、皆さんアンニュイって言葉をご存じですか?
雰囲気を表す言葉となるようですが、聞いたことはあっても、なかなか言葉の意味まで知っている方は少ないようです。
 元々はフランス語で「退屈」という意味になるようですが、今では、「憂鬱、退屈、けだるいさま」などの意味で使われるようで・・・例えば、気分が晴れずつまらなそうにしている人や、何もやることがなく暇そうにしている人、けだるい雰囲気を醸し出している人・・・そんなイメージがアンニュイとなるようです。
 一聞、悪いイメージの言葉のようですが、逆に良いイメージで使われる事もあり、この「アンニュイな雰囲気」に魅力を感じる人も多く、やる気満々でガツガツしている雰囲気ではなく、落ち着いた大人の雰囲気を表す言葉として使われることもあるようで、人や場面によって、特に大人の女性に対しては褒め言葉になったり、良いイメージにもなります。
 この相反する二つのイメージを持つ不思議な言葉「アンニュイ」ですが、では、「アンニュイなあかり」ってなると、さて、どんな灯りになるのでしょう?
 そこで、今回は暮らしの中にある「アンニュイなあかり」について少し考えてみたいと思います。
 日常の中で連想する「憂鬱、けだるい」といった雰囲気に感じる光環境とはどんなものがあるでしょう。例えば、今にも雨が降りそうなどんよりとした曇り空、雨の日の昼さがりなど、明るい晴天の青空というよりは、雨模様や曇り空ような薄暗い光環境がイメージに近いのかと思います。せっかくの休日に雨など降ったら1日残念な気分になったりしませんか?どんよりと・・・ このような、「憂鬱、けだるい」といった雰囲気に感じる光環境で共通して言えることは、雲によって明るい太陽光が遮断された、照度が低く、薄暗い環境であるということです。
 これは、人の心理に大きく影響をもたらす「明るさ」と「色」による光の特性の働きが関係しています。照明でも「昼光色」といった昼間の太陽光のようなや「白色」系の光は明るいと爽やかで快活な気分にさせてくれますが、薄暗く照度が足りないと、陰気な雰囲気になる特性があります。
そして、このような憂鬱な光環境になる季節が近づいています。そう梅雨です。いってみれば梅雨は憂鬱でけだるい「アンニュイな季節」といえるかもしれません
 しかしながら、「アンニュイ」には悪いイメージとは逆に、落ち着いた雰囲気を醸し出すといった良いイメージの意味をも持ちます。そこで、憂鬱になりがちな梅雨時期に魅力的な良いイメージとなる「アンニュイなあかり」の提案をいくつかしたいと思います。
 まずは、適度な明るさで照らす電球色の活用です。電球色は昼光色など白色系の光色とは逆に、照度を適度に弱めた方が人の心理的にも落ち着いた安らぎを与えてくれる光環境を創ります。この光色の特性を活用し、窓から入る日中の環境光が低下する梅雨時期などには、適度な電球色の光源を2~3灯をお部屋のポイントに箇所に配置するだけで、沈みがちなお部屋の雰囲気を和らいだ空間に変化させてくれる良いイメージとなる「アンニュイなあかり」創りだすことになります。
 このような優しい「アンニュイなあかり」のお部屋に包まれて過ごす時間も素敵かもしれませんね