放送日:2017年1月20日

「新しい和室の照明」

 前回は主に住宅における「和室のあかり」についてお伝えしました。
現在、住宅の和室といえば、本来の様式に則った和室から、床だけが畳で、壁・天井をクロス貼りとしたような「洋和室」「モダン和室」といった現代風のアレンジを加えた和室に変化しています。その変貌していく和室の内装や仕様に合わせて照明も、今までのスタイルとは異なる工夫が求められるようになります。
 そこで今回は「新しい和の照明」と題しまして、変化する現代和室のスタイルに調和した照明とは何か?考えてみたいと思います。

 ひと言で「現代和室」といっても範囲は広く、洋風よりな空間もあれば、和風よりな空間もあります。またシンプルな内装のものから、凝った造作を施したものまで、これといって決まった建築様式があるわけではありません。住み手の好みや、内装仕上げの種類、隣接する居室とのバランスなどによって見た目の仕上がりは大きく異なります。
 数十年前まで、一般的な住宅用の和室の主照明と言えば、1灯天井吊り下げる和風のコードペンダントが主流でした。それから、天井直付け型のシーリングライトに移り、最近では和室にダウンライトや所によって間接照明を取り入れたりと、使用される照明器具の種類も和室の変化に伴い新しい提案が増えているのですが・・・では、「新しい和室の照明」とは? 今言ったダウンライトや間接照明といった最近使用され始めた照明器具となるのでしょうか?・・・いいえ、それは違います。
 あくまで、選択される器具の種類が増えたというだけで決してダウンライトや間接照明が「新しい和の照明」というわけではありません。先ほどお伝えした通り、様々なケースの違いで現代和室は内装に異なりがあるのですが、それらに合う照明で重要なのは、「明るさ感」と「照らし方」です。この2つを内装と上手く合わせる事ができればどのような内装と器具の組合せでも、居心地良くしっくりきます。極論をいえば、意匠バランスがあれば・・シンプルでいかにも今風な和室に数十年前まで主流であったコードペンダント取付けても良いでしょうし、古民家にある和室にダウンライトや間接照明を使用しても良いと思うのです。要は内装仕上げの色や素材をどのように効果的に照らして、その時々に合った明るさ感を保持させるかが重要となるわけです。
 そこで、ひとつ提案として、照明に調光機能を使い、また高さや照らし方の違う複数の光源を適度に配置し組み合わせることで様々な時間帯・生活シーンに対応できるよう、1つのお部屋に明るさ感に奥行きを持たせることが効果的です。

・ハイエンド → 眩しすぎない十分な明るさのこと
・ローエンド → 十分に暗いのですが、不安でない安心できる薄暗さ

 単なる器具の選定ではなく、上記2つのエンド範囲を調光して、各々でその時々のシーンに調和したあかり創りを楽しむことが、これからの「新しい和室の照明」になるでしょう