放送日:2015年12月4日

「間接照明・・・その3」

 前回、前々回と、主に住宅照明の中で使う「間接照明」についてお伝えしましたが、今回も住宅照明において「間接照明」の実際照らす上でのポイントなどお話したいと思います。
 間接照明が壁や天井に照らし出す光のグラデーションは見た目にも美しく、空間にとても豊かな表情を作ります。その面で反射した間接光は柔らかに周囲を包み込み、落着いた居心地の良い空間に演出してくれます。この事から近年、質の高い照明方法として重宝され、街の飲食店や商業施設などの照明に多く取り入れられており、住宅照明としても多くなってきてます。

 住宅を建てる際、一般的に照明工事は床、壁、天井などの内装工事がある程度終わった段階で照明器具の取付工事を行います。しかしながら、住宅照明でよく使われる天井に直に取付ける天井照明などとは違い、間接照明は「建築化照明」といわれており、「間接照明」は光源となるランプや器具自体が目線に入らないように、天井や壁に掘り込んだ溝を作ったり、幕板で器具を隠したりします。その為、設置場所、その施工的な納まりや使用する照明器具の選定など、完成イメージを建築計画の始めの段階で、しっかり決めておかないと、この質の高い照明方法もひとつ間違えると残念な照明となってしまいます。

 例えば「間接照明」はダウンライトのように直接、作業面や床を照らす照明ではなく、一度、壁や天井に光を反射させ照らす照明方法の為、器具自体の明るさよりも、その反射させる壁や天井の仕上げ材によって明るさ感が大きく異なることになります。光が当たる面が濃い色のクロスや内装用タイル、濃い茶の板貼りなど、暗い色の仕上げだと、光が多く吸収させてしまい反射効率が下がるため、面に光だまりができたり、また光沢のある素材を使用した場合は隠したはずの光源が写り込んだりして、見た目にも良いとはいえず、思ったような演出効果は得られません、・・・その為、余程の意図がない限り、白色に近い明るい色を選び、内装材の質感も光沢のないマットなものを選ぶことが、「間接照明」の質の高い「あかり」を活かすには良い選択といえるでしょう。
 この事からも、「間接照明」は「建築」と一体的に考えて計画を進める必要がある照明といえます。
 これから、「間接照明」をご自宅にとお考えの方がいらっしゃいましたら、今回のポイントを参考にしていただき、質の高い「あかりの演出」を楽しんでいただけたらと思います。
 きっと、従来の天井照明だけの「住宅照明」とは違い、照明に多様性を持たせ生活を豊かにする新らたな「あかり」の発見となることでしょう