放送日:2021年10月15日

「あかりの記念日」

 日本では現在、1年365日を通して毎日、何らかの記念日が存在します。
 それら記念日は、時事的な事柄にまつわるものや日付けの数字を文字ったものなど様々あります。照明の世界でも、このような記念日がいくつかあり、その中で有名なものに、来週の10月21日に「あかりの日」という記念日があります。

 「あかりの日」とは、皆さんもご存じの発明王で有名なトーマス・エジソンが1879年10月21日に40時間点灯する実用性の高い白熱電球を開発した日として、その偉業を称え制定された記念日になります。
 ほんの140年程前まで、生活の中で光を出すには必ず火を燃やさなければなりませんでした。そして火は、熱と光を合わせ持ちますが、まず、その光から火を分離する革命を起こしたのがエジソンでありました。
 今現在当たり前のように、我々の生活を昼も夜も安全に豊かに照らし続けている電気をエネルギーとした照明の「あかり」ですが、これは、光から火を分離したエジソンの功績があったからこそといえます。この実用性の高い白熱電球の普及から始まり、今ではLED照明と日々進化し続けている電灯照明のあかりですが、発光するのに使われるエネルギーはもちろん電気となります。
 家の中で「電気を点ける」といえば、他の家電製品であるエアコンでもなくTVなどでもなく、「照明を点ける」ことを連想されたかと思います。これには諸説ありますが、当時、電気の普及を助けるように、この白熱電球が一般家庭の中で使われる家電のトップバッターとして、“生活の光”電球が急速に広まった事に起因しており、その名残りともいえるでしょう。

 生活光源として電灯照明が普及する以前は、ロウソクなど直火を使った「あかり」が生活光源の主流でしたので、この当時の生活光源の変化は昨今のLED光源への変化より比べものにならない程の衝撃があったのだろうと推測されます。
 では実際、このエジソン電球とはどのような光だったのでしょうか?
 スタジオにて点灯してみましょう →※スタジオの照明を消して点灯したいと思います。

・・・このわずかで優しい光が創り上げる空間には、現代の明る過ぎる光環境に警鐘を鳴らす静かな力を感じます。
 高度成長期以降、明るさ至上主義によって変化してきた異常ともいうべき現代の明る過ぎる人工照明の環境を、この「あかりの日」を起点に今一度見つめ直すキッカケになってくれることを期待します。