放送日:2021年7月23日

 今回より光の演色性についてお話できればと思います。
 「演色性」という言葉をご存知でしょうか?・・一般の方にはあまり馴染みのない言葉かと思います。簡単にいえば、光の特性を表す言葉で、ある光による色の見え方のことを言います。

 現在、私たちの生活に欠かすことのできない照明器具やランプなどの人工の光ですが、それらが開発される以前、何十万年も前から人は、太陽の光の中で生活し続けてきました。その為、人間は太陽光の下での物の色の見え方を最も自然な色の見え方として感じる特性が備わっています。
 つまり、自然光により近い見え方になる光を演色性が高い光と表します。これら演色性の度合いを示すのにRa100を最大値とした平均演色評価数という数値が用いられ、照明用光源の性能を示す一つの指標となっています。
 現在、日本ではJISの照明基準総則によるとRa80以上が推奨されており、我々が生活の中で使う一般照明・ランプの光源もこのRa80以上のものがほとんどとなります。
※最近、家電量販店に売られているような一般照明(シーリングライト)にも表示されるようになっています。

 では、演色性が低い光とはどういったものになるのか?・・実際、明るさがあれば物の色も見えるのが普通です。しかし、明るさがあっても色がよく見えない光源が実在します。
 例えば、昔のトンネルなどに使用された黄色・オレンジ色の光で照らす低・高圧ナトリウムランプは演色性がRa20~30程といわれ、トンネル内で車や人を見るとやや灰色がかり見えます。しかし同じ、黄色やオレンジ色の光となる夕方の太陽光に照らされたものは、ナトリウムランプのように違った色に見えることはなく、昼間の青白い光と、夕方の赤味を帯びた光と光の色が相当違っていても、ほとんど物の色は少しも違和感なく白いものは白くと自然らしく認識できることは誰でも経験されていると思います。つまり、演色性の良し悪しは光の色にはほとんど影響はなく、各光源の分光分布の違いによる影響が大きいといえます。

※分光分布とは、光源の光の中に重なり合う青紫から赤までの光(虹の7色)が、どういう割合で含まれているかを表したもので、太陽光や炎などの自然光、また白熱電球や蛍光灯、LEDといった人工照明など、全ての光に備わっており、これら青紫から赤までの光が、一様に含まれていればいるほど、照らされた被照射面の色が忠実(=自然光に近い)見ることができるといった光の特性となります。

 では、分光分布の違いや演色性の違いによって、私たちの生活にどのような影響があるのでしょう。

 蛍光灯など従来光源の時代、演色性の高い「高演色型の照明」器具は、一部の専門の分野(美術館、飲食店、洋装店、病院など)で活躍していましたが、当時は価格も高いものでした。しかしながら昨今はLEDの開発がすすんだことで、住宅など一般照明においても器具1台あたり¥1,000~¥2,000程の差額で比較的安価に購入できるようになっています。
 ただ安価になったから全ての照明を高演色型の照明にするといったことではなく、例えば、食材を確認するキッチン、化粧をされる洗面室、デスクワークや勉強をする手元灯など、使用する場所や用途を選び高演色型の照明に切り替えてみることで、今よりワンランクアップした住宅照明の創造が期待できます。
 高演色型の照明は日々の暮らしをより豊かなにする「あかりの演出」のひとつになることでしょう。
 

※一般照明(住宅照明)における高演色型照明のおすすめポイントなどなど
※演色性の高い人工光源が活躍する場とは・・・美術館、飲食店、洋装店、他
話の進行具合によって次回につづく。。。次回は実例をもとに弊社の手がけた物件を基にお話しできたらと思います。