放送日:2020年11月27日

「光源の高さ その2」

 今回も、主に住宅照明における「光源の高さ」について少し考えていきたいと思います。

 どのような照明器具にも必ず光源といわれる、光を放つ部分がありますが、ご自宅で仕様される照明の光源の位置や高さについて意識を持たれたことはありますか?
 実は設置する場所や目的、また生活時間によって適正な光源の高さは異なるのです。
 現在でも一般的な日本の住宅照明でいうと、天井中央に設置するシーリングライトが多く使われます。また近年では、天井に穴を空け設置するダウンライトも、天井面に直に設置するシーリングライトのような出っ張りがなく、天井面をスッキリみせることので人気があり、住宅の主照明に、使用されるご家庭も増えております。これらは天井から部屋全体を均一に照らすことを目的に持つ照明で、もちろん光源の位置は部屋の一番高い場所、天井となります。

 日本では特に高度成長期以降、白く明るい蛍光灯により部屋全体を均一に天井から照らす照明がスタンダードな照明の形となり、豊かさの象徴として広く普及してきた経緯があり。今でも、その名残で、当然のように照明は天井から明るく照らすものと思いこまれている方も多くいらっしゃると思われます。
 しかしながら、このような明るすぎる天井照明のもと、夜間も昼間のような明るさの中で過ごす事による「光害」を問題視する動きが徐々に高まっているのです。
 本来、人はこれら人工照明のもとで暮らす何十万年も前から、太陽と炎の光の中で生活してきたことから、一日の太陽の軌跡の中で変わる明るさや光色、照射角度の中で生活することが、最も人にとって最適な環境であり、これら目から入る光の情報が、心身ともに安定した生活を過ごすことのできる光環境といえるのです。
 では、太陽光や炎など自然界の光をご自宅で再現できるとしたらどうでしょう?・・・

 そこで、これからの住宅照明における一つの考え方として、光源の高さの利用法をご提案したいと思います。
※この後、生活サイクル(時間帯)に合わせた主照明の光源高さ(明るさ+光色)の考え方、実施方法のご提案をいくつかご説明します。

 最後に・・・他の電化製品と違い、照明は一度取付けたら中々取替える機会のない製品ではありますし、生活環境をわざわざ変えてまでと難色はあると思われます。しかし、試してみたいと思われる方はぜひ2週間は続けてチャレンジしてみて下さい。慣れてくると夜間のリラックスできる適正な光環境に良さを実感して頂けると思います。