放送日:2020年10月16日

「キャンドルの光」

 今回はキャンドルのあかりについて、考えてみたいと思います。

 人類が火を生活に使用し始めてから、数千年以上、「キャンドル:ろうそく」の炎の光が、我々の生活光源として使われておりましたが、約140年前に白熱電球が一般に実用化されて以降、電気をエネルギーとする人工照明が生活光源となり、蛍光灯、LEDと光源の種類を変えながら、人工のあかりの中で生活し続けてきました。その過程の中で、現在では、キャンドルを使用する場面もほとんどなくなり、生活の中で直火を使う機会も限りなく少なくなっております。
 確かに、生活のあかりが「キャンドルなどの炎のあかり」から「人工照明のあかり」に変化したことで、夜も昼間の様に明るい環境で生活できるようになり、火災の心配もなければ、室内の空気も汚れず、私たちの生活は少なからず豊かになったといえます。
 しかしながら、キャンドルが今も市場から無くならず、世界的にも未だに使われ続けている理由のひとつに、人工照明の様な単調な光とは違い、人が持つ本能的な所に作用し心地良さや癒しなど様々な影響を与える「揺らぐ炎」の魅力にあるのかと思われます。

 このような、キャンドルの炎の揺らぎといえば、「1/f揺らぎ」という言葉を連想します。
 「1/f揺らぎ」とは、人間が一番安らぎを感じる波長のことで、単調でなければ、ランダムでもない、丁度良い不規則性で調和し、人に心地良さを与える特別な振動:波長をいい、キャンドルの炎もこの揺らぎにあたり、空気の微妙な流れで不規則的に揺らぐ炎が人に、心地良さを感じさせるのだそうです。

 現在このような炎の揺らぐ波長を感じる場面といえば、バースデイケーキのキャンドルや結婚式のキャンドルサービスなど、また、キャンドルに限らず、暖炉やキャンプで揺れる炎を見ていると何だか心が落ち着く経験をされた方も少なくないのではと思います。

 キャンドルの炎が持つ不思議な力は、心が穏やかに心身をリラックスさせ、家族や恋人たちをさらに近づけてくれる効果が期待できるかもしれません。

 人工照明では創れない素敵な時間を創ってくれる「キャンドルの優しい炎の揺らぎ」・・・これからの時期、秋の夜長を楽しむ大人の時間やハロウィン、クリスマスなど、特別な日の「あかりの演出」として、キャンドルのあかりに包まれる時間を大切な人と楽しんでみてはいかがでしょう。