放送日:2018年11月16日

「秋を彩る紅葉」

 11月になると、木々が色づき紅葉の本格的な見ごろを迎えます。富山県でも綺麗な紅葉を眺めることのできるスポットはいくつもあり、今年の紅葉をすでに観に行かれた方もたくさんいらっしゃると思います。
 その場所の標高によっても見ごろは異なりますが、おおまかに10月中旬~11月中旬頃の間が紅葉のシーズンで、富山では今週末が標高の低い場所で最後の見納めになるかもですね。
 紅葉は落葉広葉樹の葉が落ち葉となって木から落ちる前に緑色から黄色や赤色に変わる現象なのですが、秋を彩るこの紅葉も、実は光が関係していることを、ご存知でしょうか?

 秋が深まるにつれ、日も短くなり気温も下がってくることで紅葉が始まります。強い太陽の光が当たり、葉が乾燥しないような適度な湿度がある条件に加え、昼夜の気温差が大きいほど、紅葉は美しくなるといわれます。また、同じ木でも日光の当たり方によって葉の色の変化に違いが出るようです。

 植物は光から得たエネルギーで栄養素を作り出す「光合成」によって生殖していますが、乾燥や寒さに弱い樹木は、冬の厳しい気候を乗り切るために秋口からその準備を始める。

 冬眠の準備のために葉が光合成を停止すると、主に葉で光エネルギーを吸収する役割を持つ「クロロフィル」が減少します。それにより葉から緑の色素がなくなり、黄色の色素が目立つようになってきます。これはイチョウなどの黄色の葉の過程です。
 また一方、もみじやかえでなどの赤く色づく紅葉の仕組みについては、まだはっきりとした解明はされていないようですが、同じく光合成を停止して「クロロフィル」が減少する過程で、悪影響を生じる有害な物質を抑制する為、赤の色素をもつ「アントシニン」が分泌されるからという説が有力なようです。
 とにもかくにも、緑の葉が黄色や赤に色づいていく様は、温かい光と別れ、厳しい冬を乗り切るための広葉樹の最後の大仕事であるのでしょう。
 
 赤や黄色に色づき冬の始まりを告げる木々と秋の斜陽の陰影がつくりだす美しいグラデーションの情景は、心温かな哀愁と鮮やかで美しい色彩美を持って私たちに感動を与えてくれます。この素晴らしい眺めは、1年を通して四季の移ろいを感じることのできる日本特有の太陽と木々からの贈り物かもしれませんね。