放送日:2018年11月2日

「アッパーライト その2」

 主に夜間、私たちの暮らしを彩り照らす照明には多種多様な「あかり」が存在します。
 それら「あかり」が照らす方向、明るさ感、効果も、その使われる空間や器具の仕様によって異なるわけですが、中でも一部の壁面や主に天井面を明るくする照明をアッパーライトといいます。
 アッパーライトとは、照明器具の種類を問わず、上方向に向かって光を照射する照明、また照明方法の総称をいいます。
 このアッパーライトは使い方によっては、効果的に空間を演出でき、普段の何気ないお部屋を癒しの空間に変化させる表現力豊かな照明方法といえます。

 前回は、このアッパーライトの仕組みや効果、主に屋外での仕様についてお伝えしましたが、今回は住宅照明におけるアッパーライトの考え方やおススメの使い方などお伝えできればと思います。

 日本でも屋外照明でいえば、通りに面した建物外装やお庭、庭園などで様々な場所で見かけることもあるアッパーライトですが、住宅となると日本では残念ながら、このアッパーライトといわれる照明手法を、取入れられている方は、まだまだ少ないかも知れません。
 しかし欧米の住宅では珍しくない照明手法ではあります。それはなぜ?
 その理由のひとつに、欧米のように1つのお部屋に複数の照明を設置する「1室多灯」な形と異なり、半世紀以上にわたり、ひとつのお部屋で天井照明をひとつ中央に設置するといった「1室1灯」といわれる照明方法が日本ではスタンダードな住宅照明の形として使われてきたことが挙げられます。ひとつの天井照明でお部屋全体を均一に照らすこの手法が悪いとはいいませんが、使用される場所や時間によっては、決して良い照明手法とはいえません。

 天井照明では、主に天井以外の床や壁を照らすことになり天井面が暗くなります。しかしながらお部屋の中で、上方向に光を照明するということは、天井面が明るくなります。
 それによって、天井面に広がりを持たせ、明るい仕上げでより陰影の美しさが生まれ、特に吹抜けなど天井面の高い場所で使用すれば、より天井高さを強調して解放感を感じることのできる視覚的な効果を望めます。
 
 このように照明方法を少し変えてみるだけで、かなりの演出効果が生まれ、こだまりを持ったご自宅のインテリアをワンランクアップした空間に変えることも可能となります。