放送日:2018年10月26日

「アッパーライト その1」

 主に夜間、私たちの暮らしを彩り照らす照明には多種多様な「あかり」が存在します。
 日本ではシーリングライトやダウンライトなどの天井照明が多く使われていますが、その他にも、壁に設置するブラケットライト、床や卓上に置いて使うスタンド型の照明、また直接、光源が目の入らないよう設置する間接照明などの建築化照明と、照明器具の種類だけでも様々です。
 またそれら器具が照らす出す方向、明るさ感、効果も、その使われる空間や器具の仕様によって異なるわけですが、中でも一部の壁面や主に天井面を明るくする照明をアッパーライトといいます。

 例えば、普段は床や卓上を照らしているスポットライトをクルッと回して天井に光を向けるとアッパーライトになります。つまり、上方向に向かって光を照射する照明、また照明方法の総称をアッパーライトといいます。
 このアッパーライトは使い方によっては、効果的に空間を演出でき、普段の何気ないお部屋を癒しの空間に変化させる表現力豊かな照明方法といえます。
 そこで今回から、このアッパーライトといわれる「あかり」の仕組みや効果、またご自宅などでのおススメな使い方など、お伝えしていきたいと思います。

では、皆さんの周りで見かけるアッパーライトにはどんなものがあるでしょう?

 夜の街を出歩くと、屋外照明で見るライトアップに広く使われていたりします。建物の外壁を投光用の照明器具で下から上へ照らすことで、夜間の暗い時間でも建物をクッキリ浮かび上がらせます。見せたい対象を下から照らすことは、その演出次第でより美しく見せ、面を広く見せるなどの効果が生まれます。また、建物だけでなく屋外の木々なども主に下から照らすことで幹や枝葉に沿って綺麗な陰影が生まれ、より人の目を引き付ける効果が期待できます。
 ではなぜ?アッパーライトに照らされた物を見ると、このような心理的な効果が起きるのでしょうか?・・今のように電灯照明が生活に使われる以前、人は何十万年以上という長い間、朝目覚め活動する一日の大半を空の上から降り注がれる明るい太陽の光のもとで暮らしてきました。その為、頭上から照らされる光を現実的な光として認識します。逆に日が沈んだ夜間の光といえば、わずかな月あかりと焚火など直火の光でした。
 つまり、夜間に下から上へ照らされる明るい光(アッパーライト)に対して、非現実的な光に感じる心理的な特性が働き、人の目を引き付け、魅力的に感じる効果の高い照明手法といえるのでしょう。