放送日:2018年2月23日

「光の反射と素材 その3」

 前々回より「光の反射と素材」についてお話してまいりました。
 1回目は「光の反射」について、2回目は「素材の反射率」について、そして3回目となる今回は、「光と素材の相性」と題しまして、様々に反射率の異なる素材、それぞれに合った照明方法など、いくつかお伝えできればと思います。
 まず、「光」と「素材」は相互に作用する関係にあり、その組合せ次第で、良くも悪くも、その空間における印象は大きく変わります。つまり、空間を構成する内装材や家具などと、それらを照らす照明の選定をする際、ある程度「光」と「素材」の相性の見極めが大事になる訳です。

 物体が光を反射する割合を「反射率」といいますが、白い素材は約70%の光を反射するのに対して、黒い素材は約5%しか反射しません。その為、拡散する光を放つ天井照明を使用した場合、白を基調とした内装の空間では少しの照明でも明るくなりやすいのですが、反対に黒を基調とした内装では照明器具を増やしてもなかなか明るい印象にはなりません。これは、明るいから良くて、暗いからダメということではなく。
 例えば、学校やオフィス、病院など、均整のとれた明るさを必要とする空間では、白を基調とした明るい内装には全体的に拡散する光を照らすことで、光も程よく周り手元に影を作りにくい良好な光環境をつくることができます。しかし、ブティックやバーのような店舗などで見かける黒を基調とした内装には、いくら拡散光の照明を設置しても期待する明るさを確保するのは難しくなります。このような空間では、スポット光で一部を照らすことで、展示物を際立たせたり、カウンター面を浮き上がらせたりと演出を高める効果を得ることができます。このように空間の使用用途に応じても、適正な照明も変わり「光と素材の相性」が変わるのです。
 
※いくつか例をあげますと・・・
・「間接照明」ですが、照らす天井や壁、床の素材は、濃い素材、ツヤ有が相性悪い
・LED白色光を使用した場合⇒濃い茶系の床材は色が飛び白ける、
・凹凸のある素材は、正面ではなく斜めから光を照らす事で⇒陰影強調、表情が現れる
・・・など、他にも「素材と光」の組合せは数限りなくあり、それぞれに相性があります。

 「素材と光」は相互に作用する関係にあります。それぞれ別に捉えるのではなく、組合せてどう見せるかがとても重要な事で、これらのプロセスを意識することで、普段の見慣れたお部屋がワンランクアップした心地良い空間に変化する可能性が高まる訳ですね。