放送日:2017年11月10日

「トンネル照明の今 その2」

 今回は、前回に引き続き「トンネル照明」のお話をしたいと思います。
 秋の深まりをみせる11月、いかがお過ごしでしょうか? 山々も紅葉に色づき始め、食べ物も美味しく感じられるこの季節、皆さんの中にも県外など車で遠出される方もいらっしゃる事と思います。その際に利用される道路といえば「高速道路」になりますが、「高速道路」は一般道に比べ走行中の環境も違い、何より速度も速くなることで、より安全な運転を心掛けなくてはならない道路になります。そんな高速道路の中でもより危険な区間が「トンネル」です。
 「トンネル」は日中の明るい環境から急に暗い場所に入ることや、逆に夜間は暗い環境から急に照明の効いた明るい環境に入るというように、走行中に周囲の光環境が急激に変化する事でドライバーにとっては、視認性が著しく妨げられ、より危険が増す区間となります。そこで、普段何気なく走っている高速道路の暗い「トンネル」内を見やすく照らす照明の役割は大きく、実は安全に走行する為に明るさや照らし方など様々な工夫が施されているのです。トンネル内の照明は均等間隔に同じ器具で同じ照らし方で並んでいるイメージですが、実は入口付近と内部で明るさが違います。
 人は、明るいところから暗いところに急に行くと暗さに目が慣れず、トンネル内部の景色がよく見えないことがあります。その為、高速道路では入口部分の照明を明るくし、内部に行くにしたがって少しずつ暗くすることで、暗さに慣れるように工夫されているのです。また、照らし方においてもトンネルの断面形状、長さや幅、交通量、一方交通か対面交通かなど様々な条件の違いによって適切な照明方式、照らす位置や方向が異なります。同じ区間内でも高速道路のトンネル照明が微妙に違うのはその為です。
 しかしながら、これらの条件に時間帯による環境光の変化や気象条件などが重なると、従来光源の「ナトリウム灯」や「蛍光灯」、「メタルハライドランプ」などの単一光源だけでは、適正な照明環境を整えることが難しいことになります。
 そこで、一般照明としても商品の多様化が進み、急激に普及し続けるLED照明がトンネル照明においても、4年程前から各地で導入され始めています。実際にLED照明のメンテナンス性の高さ、また機能性、主に調色・調光機能の柔軟さを考えると、先ほどの様々な諸条件を適正にクリアする、安全な光環境を作り上げる次世代のトンネル照明の光源として現在も研究が進み期待されています。
 しかしながら、民間レベルで急激に普及し続けているLED照明ですが、高速道路においてはなかなか導入が遅れているように感じます。
 
 様々な事情はあるでしょうが、長距離・高速運転を行う道路です。事故や渋滞の発生率を少しでも下げる意味でも、効率的な高速道路のLED化は進めていって頂きたいところですね。