放送日:2017年11月3日

「トンネル照明の今 その1」

 私事ですが仕事柄、富山県外に行く機会も多いのですが、その際、移動には車が好きで、よく県をまたぐ移動には高速道路を利用します。その山間部を走る高速道路移動も長距離になると、春には桜前線の境を感じられたり、先ほどの紅葉もですが、山々などの色づき始める景色の変化を観ながら走るのが楽しみのひとつになっています。
 11月は秋も深まりをみせ、各地で山々も色づき紅葉のシーズンに入り始めます。
 皆さんの中にも、美しい紅葉を楽しみに旅を計画されている方もいらっしゃると思います。
 しかしながら、高速道路は一般道に比べて走行中の環境も違い、法定速度も速くなることから、より安全な運転を心掛けなくてはならない道路であります。
そんな高速道路の区間内でより危険が増す区間が「トンネル」です。
 「トンネル」は、日中の明るい環境から、急に暗い空間に入る区間となり、逆に夜間の走行中は暗い環境から急に照明の効いた明るい環境に入るといった、周囲の環境が急激に変化する場所として、特に高速道路などの高速移動中のドライバーにとっては、危険が増す区間となります。その暗い「トンネル」内を照らす照明は、万が一に起きる事故を未然に防ぐ為、しっかりと前方を視認できる「あかり」としての役割は小さくありません
 秋の行楽シーズンと重なり、車で移動される方も多くなる11月、今回からは「トンネル照明の今」と題して、トンネル照明についてお話していけたらと思います。

 走行中トンネルは、渋滞や事故の発生率が高い区間となります。その要因のひとつに目から入る光の情報による人の本能的な体の反応にあります。
 人は明るい環境から急激に暗い環境になった場合、本能的に体が委縮し動きを止める反応があります。逆に、暗い環境の中、光を見つけると急いで明るい所へ向かおうとします。
 また、明るい場所から暗い場所に入ると目が慣れるまで時間がかかり、逆に、暗い場所から明るい場所入ると目はすぐに慣れますが眩しさを感じることになります。
 これら、人が本能的に持っている周囲の明るさによる反応時間のズレが、車の走行中トンネルを通過する際に現れ、走行速度の減速、加速や危険を視認してから反応するまでの時間を鈍らせることで、トンネルでの渋滞や事故が起こる一因となっているようです。
 このような、明るさの環境の違いから危険を伴うトンネル内を照らす照明の役割は大きく、より安全に走行する為には、時間帯や天候などによるトンネル内外との明るさ感の調和や、トンネルの形状を問わず最適に前方を視認できる照らし方が求められることになります。

 そして現在、これら多様性のある条件を満たす次世代のトンネル照明としてLEDが注目され取入れられつつあります。では、従来のトンネル照明とは、どう違うのか次回お伝えしたいと思います。またこれを聞いて旅の楽しみの一つにして頂ければ幸いです。