放送日:2017年9月8日

「タスク・アンビエント照明」

 昨今、仕事場や学校での視作業だけでなく、自宅でもパソコンやスマートフォンなどの視作業を長時間行う方も少なくないと思います。もちろん、このような長時間の視作業は目に良いとはいえません。そこで、こういった目を酷使する環境を照明で緩和してなんとか改善できないか?・・・と、今回考えてみたいと思います。
 「周囲の環境」を意味する語「アンビエント」と「自分が行う仕事や作業」を意味する「タスク」いう言葉があります。これを照明でいうと、壁・天井など周囲を照らして空間全体を明るくするような照明を「アンビエント照明」といい、また、視作業を行う机の上など作業面を照らす照明を「タスク照明」といいます。これら2つの照明方法を併用することがが目に優しい照明といわれ、これを「タスク・アンビエント照明」といいます。

 「タスク・アンビエント照明」は特にオフィスの事務仕事など長時間に渡って、目を酷使するような仕事で効果的とされていますが、単に2つの照明方法を併用すれば良いという訳ではなく、視作業空間の作業面の明るさに対してその周辺照度は1/3、さらに部屋全般が1/10程の明るさを理想とする黄金比のような照度比が良いとされています。
 今日では、前回お伝えした「スマートLED照明」のようなシステムを応用し、天候や時間によって変化する窓から入る自然光の明るさや、窓からデスクまでの位置などを考慮して、先ほどの照度比を合わせオフィス全体の作業環境を一括管理する照明システムがにわかに大きなオフィス空間などでは普及しつつあるようです。しかし一般的な作業空間ではどうでしょう。
 ひと昔前に比べ、現在では小さな作業スペースでも、パソコンなど発光しているディスプレーが置かれる事が多く、暗い部屋での作業は画面周囲との明暗のコントラストが強すぎ、目に疲労を与える原因にもなっています。これが毎日の長時間の視作業ともなると目の負担は大きくなります。また、お子さんの勉強部屋の照明においても気をつけていないといけません。
 近年、近視の低年齢化が進んでおり、その背景には、パソコンを使用した勉強やスマートフォンの普及が大きな原因にもなっているといわれています。
 これら要因のひとつに画面と画面周囲の明るさの差に大きな原因があるようです。

 ディスプレー面の明るさ調整や機種によって変わりますが、昼の室内でもある程度明るく見える画面からの明るさを照度に換算すると約200~600ルクスほどの明るさになります。その為、明暗コントラストを緩和するには、目に入る画面の明るさと、その画面周囲の明るさとの差を少なくし、画面の明るさに合わせ、照明による視作業周辺の輝度(拡散反射の明るさ)の調整が必要になるわけです。