放送日:2017年3月17日

「車のLEDライト」

 前々回「車のライト」についてお伝えしました。皆さんの暮らしの中でお使いになっている照明器具やランプと同じように、「車のライト」も時代の流れに伴い、白熱電球から蛍光灯などの放電灯、そしてLED照明へと、使われるランプ光源を変えながら、明るさや機能性を高めつつ変化してきました。
 2011年以降、LEDのヘッドランプが市場に出回ると、省エネを求める時代背景と重なり、その需要は急速に伸び続けて、今や国内シェアも60%を超え、今後ますます、主流のヘッドライト光源としてLEDが牽引していくと思われます。LEDといえば、長寿命で消費電力も少なく、機能の幅も広がるなどと、良いこと尽くめと思われがちな光源ではありますが、自動車用のライトとして考えると実際はどうなのでしょうか?
 そこで今回は、車で使用するLEDライトについて少し考えてみたいと思います。
 
 車のヘッドライトは、生活空間で使用する照明などの快適さを求める光とは考え方が異なり、まずはドライバーからの視認性が重要で、夜間に車を走行させる上では安全に直結するライトとなる事から、光の強さや色などにも法律で細かい規定があります。
 そこで、遠くまで明るくハッキリ照らすこと出来る光を望む傾向から、2000年以前に主流であった「ハロゲンランプ」から2000年に入り「HID・ディスチャージランプ」そして「LED」へと使われる光源の種類が変わる過程で、より白くハッキリと明るく照らせる光になっていきました。夜間、白く明るくハッキリと照らせるとなれば、ドライバーにとっては、前方の視認もしやすく申し分なさそうですが実際はどうでしょう?
 対向車や歩行者など照らされる側に立つとLEDの光は優しい光とは言えず、「ハロゲンランプ」のような従来光源と比べると、刺激が強く眩しい光とイライラを感じる方も多いようです。また、LEDの配光が狭く指向性を持つ光の特性が関係して、後方からの後続車の接近や、交差点での右折、左折時の認知の遅れが出るケースもあるようです。
 
 その他にも、LEDの光は、降雪や雨天時など特定の条件下で視認性に問題があることが確認されています。例えば、特に雪国では、オプション装備で付けたフォグランプが点灯時よけいに雪に反射して見づらくなり、ほとんど機能しないなんて事もあるようです。また他にも・・・長寿命の為にランプ切れを想定していないことからランプユニット自体が数万円とかなり高価である事や、ランプは長寿命でも周辺機器が先に壊れるといった事など、今後、仕様的にも改善していかなければならない事柄がいくつもあります。
 このように、真新しさや長所ばかりに目をやらず、賢い消費者・ドライバーとしてLEDにも短所があるのだと理解して、見定めて使用していくことが必要になると思います。
 勿論、各メーカーによる開発や法規制も追従して、このような短所も今後少なくなっていくと思いますが、LEDの機能性の幅をもっと高める提案を望みます。