放送日:2017年1月6日

「床の間のあかり」

 新年あけましておめでとうございます
皆さん各々に、ご家族やご親戚、ご友人を迎え楽しい時間を過ごされたと思いますが、
 お正月にお客様をご自宅に招くとき、おそらく和室に通された方も多い事と思われます。その和室の中でも床の間のある空間は、日本では昔から客間として重んじられてきました。
 古くは室町時代に書院、違い棚を一体にしたことや、また鎌倉時代に禅僧が仏画を前に三具足(花瓶、香炉、燭台)を置く小さな台が起源ともいわれ、その後、戦国時代に千利休をはじめとする茶人や数寄を好む武将により客人をおもてなしする空間として今の床の間の形になっていったと思われます。
 現在、床の間といえば、家々で季節の行事やお祝い事に応じた掛け軸を飾ったり、花器や香炉を置いたりと様々な使われ方がされています。お正月でいえばお客様をどうもてなすかのポイントのひとつに、例えば、お正月飾りの床の間があるのではないでしょうか
 このような事から、ご自宅の和室に床の間を設けられる方も多いと思いますが、この床の間という小さな空間を引き立てるにも、やはり装飾と照明が欠かせません。そこで、今回は床の間の照明について少しお話できればと思います。
 ところで、皆さんの床の間はどんな照明でしょう?
 座敷の床の間は基本的に正面奥に設けられ、主に床柱、床板、落とし掛けなどで構成されます。しかしながら、今では形式にあわせた格式高い床の間から、床柱を無くし置床(おきどこ)のみとしたものなど簡素化した床の間を好む方が増えています。それにより取付けられる照明といえば、一般的に落とし掛けの裏側に直管型20W相当の器具が付けられることが多かったのですが、変化する床の間の形に応じてダウンライトや間接照明など新しい照明より照らし方も変化してきています。また、床の間の照明を考える時はもちろん、和室の全般照明とのバランスも重要です。
 和室の照明は、一般的に明るい感じの和室を好む方では乳白カバー付きのシーリングライトで部屋全体を照らす空間になるでしょうし、例えば高級旅館の客室のような雰囲気を好む方では、ペンダントライトやダウンライトで主に座卓上を中心に照らすような陰影のある空間になると思います。このように、和室の照明の違いで空間の雰囲気や明るさ感が変わる為、部屋の照度ほど床の間が明るくないとあまり目立ちませんし、光の色が違ったり照らし方が悪いと違和感を感じることになります。それら部屋の照明に合わせ床の間の照明をバランス良く考える必要があります。
 とはいえ、今日では床の間の使い方も自由ですので、各々にそこに住まわれる方の感性でおもてなしの心を持って楽しみながら照明を考えてみるのも良いかもしれませんね