放送日:2016年7月1日

「2つの照明方式」

 日頃、皆さんの生活を豊かに照らし続けているお部屋の照明ですが・・・それら照明の照らし方は、お部屋の用途、時間や場所によっても様々に変化するものの、大きく分けて2つの照明方式があるのをご存じでしょうか?
 それは、全般照明と局部照明になります。今回はこの2つの照明方式のお話をしたいと思います。どんな場所のお部屋でも照明があれば、必ずこの2つの照明方式に該当します。

 全般照明とは・・・
 おもにテーブルやデスクなどの作業面、また床面といった部屋の水平面を均一な明るさで照らす照明のことで、部屋の中心から隅までほぼ同じ明るさを求められるような部屋、例えば、学校やオフィスなど、不特定多数の人が同じ時間に活動するような空間に使われる照明方式となります。その際、配灯する照明も同じ明るさの器具を天井に均等に並べるなどして見た目で光ムラや明暗を感じさせない空間にすることが理想的といえます。また、住宅でいえば家族が集まるリビングルームなど複数の人が異なった生活行為を行う場合にも全般照明が必要となります。
 日本では、乳白のカバーで光源を覆った器具を天井の中央にひとつ取付けて照らすタイプの照明が全般照明といえ一般的に使われている住宅照明となるでしょう。
 しかしながら、全般照明の「あかりの質」を考えた場合、多数の人が同じ時間帯に同じ行為を行う学校の教室やオフィスなどと違い、住宅では手元の明るさを求められる勉強や家事などの視作業を行う人も、TVや読書など寛ぎの時間のあかりを求める人も、ひとつ部屋を共存することになり、片方の行為に天井照明の明るさを合わせるとなると、まぶしさなど、あかるさ感に弊害が生じることになります。

 そこで、必要となるのが、局部照明となります。
 局部照明とは、簡単にいうと部屋のある部分を照らす照明の事で、ある特定の対象物を明るく引き立たせ人の視線を集める効果があり、空間にアクセントを与えることでアクセント照明ともいいます。上手く使えば、空間にリズムを作りリラックスした雰囲気や空間に奥行を感じさせる効果が生まれます。例えば、ダイニングルームで食卓を照らすことでドラマチックに浮かび上がらせたり、観葉植物や絵画を照らすことで洗練された空間となります。また、勉強や家事をされる方の手元の明るさを確保する為、全般照明に局部照明を併用して使うことで、寛ぎのあかりを求める人との共存も図れるようになります。
 我々の生活をより豊かにする照明のあり方として、これら全般照明と局部照明の併用が、これからの住宅照明に望まれていく照明方式になっていくことでしょう。