放送日:2016年5月27日

「健康と光」

 前回は、光の色と明るさの組合せによって、人が感じる快適範囲に変化があるとお話しましたが、今回は、人が生活をおくる上で大事な「健康」と「光」の関係についてお話しできればと思います。

 太陽からの自然光は、朝から夜にかけて明るさや光の色を変化させます。そのような時間による光の変化に合わせ人の心や体は適応できるように進化してきました。その過程で、毎日浴びる光の量や光の色の違いが私たちの健康を左右するホルモン分泌や自律神経系に深く影響を与えるようになっているのです。

 健康な生活をおくる為には規則正しい生活が大事なんて、よく聞きます。人は体内時計を持っており比較的規則正しく寝起きすることでリズムのある健康的な生活を過ごせるのですが、不規則な生活によって寝起きの時間に変化が生じ、体内時計にズレが起きると心身のバランスを崩しやすくなり、安眠もできず、ひどいと睡眠障害に陥りやすくなります。そのような体内時計のズレをリセットし整えてくれるのが「光」になります。

 目から入った光は、網膜で電気信号に変換されて視神経を経由して脳に伝えられます。それにより脳の中枢を刺激して、主要なホルモンの分泌や自律神経系の働きを促します。
自律神経系には人の活動や緊張を高める交換神経と休息を促す副交感神経があります。

 例えば、朝から日中にかけて太陽光は、白く明るく照らします。このような光のもとでは、多くの人が活動的な時間を過ごしており、自律神経の中で交換神経が強く働きます。
 逆に夕方・日の入り前後の太陽光は、電球のような暖かく柔らかな光になります。この時、人は活動的な事から解放されて、リラックスできる態勢に入り、副交感神経が優位に働くようになるのです。

 つまり、朝から夜にかけて時間によって変化する太陽光の明るさと光の色に近づけるように、室内の照明など光環境を整理して日々生活をおくることは、体内時計のリズムが改善され、ホルモンの分泌や自律神経系の働きを良い方向に促すことができ、元気に健康的な生活する為の「あかりの演出」となるわけです。

 当たり前のようですが、夜遅く、寝る直前まで白く明るい部屋で過ごしたり、朝日を遮閉した暗い部屋の中で朝いつまでも寝ていたら、健康には良くないってことですね