放送日:2015年8月28日

「勉強に最適な照明環境」

 前回は、勉強する時の集中力を持続させる方法のひとつとして、勉強する時間と休憩する時間を作り、その時々に最適な光の組合せを、照明で演出できるとしたら・・・「集中力」を高め、持続させるのに効果的な照明手法になるとお伝えしました。
 そこで今回は、実際どのような照明手法が「勉強に最適な照明環境」になるのか、考えていきたいと思います。

 まず、勉強する時間に最適な照明とは・・・
 お部屋の照明だけだと手元が暗いという理由などで、スタンドライトや勉強机に取付けてある手元灯、また直上からの照明で、手元となる机の上を照らされている事と思いますが、これは単に机の上のノートや参考書の文字が「明るく見やすくなる」といった事より、実は部屋全体の明るさに比べ、視覚に入る机の上を明るくした方が集中しやすいという効果の方が大きいようです。

 人の集中力は「視覚」に非常に大きく影響を受け、また、どうしても光や音のある方に本能的に目を向けてしまうといった習性があります。
 机の上の明るさに比べ、部屋全体の明るさの方が暗い場合、例えば、本棚の漫画であるとか、また、傍らに置いたスマートホンであるとか、それら勉強時間に必要のない周囲の物の存在が薄れることになり、気が散らなくなります。
 逆に部屋の照明がすごく明るいと、勉強中、部屋に置いてある様々なものに目が行ってしまうために、気がつかないうちに無意識レベルで気が散ってしまい集中力が落ちやすくなります。
 つまり、集中力を高め能率良く勉強するには、机の上の手元の明るささえ十分に確保できれば、その周囲の部屋の明るさは暗ければ暗いだけ良いということになります。この場合、暗い部屋の中、机の上を照らす照明だけで勉強し続ける光景をイメージされると「なんとなく目が悪くなりそう」と心配される方もいらっしゃると思います。確かに、暗い部屋の中で光を放つTVやパソコンなどを長時間見続けた場合、画面の点滅や画面と周囲との照度差が原因となり、眼精疲労や視力の低下などに繋がる恐れがあります。
 人の目は明るい所と暗い所を交互に見た時や、視界の中で照度差の大きい光を見続けた場合に、眼球内の調整機能が頻繁に働く事によって目に疲れを感じるわけです。
 つまり、頻繁な照度変化がなく、一定の明るさで照らされる机の上だけを視界に入れる光環境の中、長時間勉強したからといって、それが視力低下の直接的な原因となる事はないのです。もし、周囲が暗いだけで視力の低下に繋がるとしたら、周囲が暗い中で長時間見続ける映画館など、とっくに大問題になっているはずです。
 という訳で、なかなか家で勉強に集中できないという方は、部屋を暗くして机のスタンドライトなど、手元の明かりだけで、一度勉強されることをおすすめします。今までいかに、部屋の中の物が視界に入って気が散っていたか、集中力が低下していたか気づかれると思います。

 とはいえ、長時間の集中した視作業は、集中力も落ち、目にも優しくありませんので、そこで1時間程度おきに小休止をいれることが大事になります。
ただ、この休憩時に気をつけたいのは、明るい白色の光を目に入れないようにするということです。白色の明るい光は脳を活動的させることから、集中力を高める勉強時には効果はありますが、休憩時には脳が休まらず、休憩後の勉強にも逆効果となります。
 その際は、スタンドライトなどの明るい白色の光から一度離れ、柔らかい電球色の明かりの中で過ごす時間を作られると効果的です。
また、寝る直前まで白色の明るい光の中で過ごされると、睡眠を誘発するホルモンが抑制される事から、いざ寝ようとしてもなかなか寝付けず、後日の勉強にも影響が出る恐れもあります。そこで、例えば深夜、勉強を終えすぐ床に入るのではなく、寝る前に少しの間でも電球色の柔らかい光の中で過ごすリラックスした時間を確保する事が大切になります。

 人よって、勉強される場所の照明環境や年齢、またやる気の度合いは様々だと思いますが、今回お伝えしました光の組合せを参考にしていただき、少しでも日々の勉強のお役に立てれば幸いです。
実際、今ご説明した光環境に慣れるまで少し時間はかかると思いますが・・・
まずは、2週間程続けてみてください、必ず効果を感じていただけると思います。

 繰り返しになりますが、「勉強に最適な照明環境」とは、ただ明るい白色の光にすれば良いというわけではなく、時間に合わせた光色と明るさの組合せがとても大事になるのです。