放送日:2021年5月14日

「健康と光について…その3」

 前々回より「健康と光」と題して、人が健康に過ごしていく為の光の役割などについて、お伝えしておりますが、今回は、「ブルーライト」についてお伝えしていきたいと思います。
 昨今、よく耳にするようになった「ブルーライト」という言葉ですが、その光が人体に与える影響が問題視されるようになっています。
そもそも「ブルーライト」とは何でしょうか?
その言葉通り「青い光」の事をいいます。

 一般に私たちが「光」と呼んでいるものは、電磁波の中の、人の目に見える波長「可視光線」のことをいい、およそ400nm~800nm(ナノメートル)の波長の範囲をいいます。この範囲の波長が、人の目の角膜や水晶体を透過して脳に伝わることで様々な色の情報を認識するのですが、この認識できる光「可視光線」の色の中で、紫外線に近く短波長域の強いエネルギーを持つこの青い光は、角膜や水晶体で吸収されず、網膜まで届く性質を持つ為、目を傷める原因になりやすい光といえます。
 「ブルーライト」はこの自然界に存在する光、太陽光や人工照明など様々な光に含まれれており、特にLED光源を使用したディスプレイや照明に多い比率で含まれているのです。  
 その為、PCやTVなどのデジタルディスプレイをはじめ、手元に「ブルーライト」の放出量の特に多いスマートフォンをたえず見る現在の目や身体に大きな負担をかける環境、また「ブルーライト」を多く放つデジタルディスプレイ機器の作業に対して、厚生労働省がガイドラインを発てたり、WHOが夜間作業と癌の発生率の関連を発表したりと、様々な分野において、問題視されている現状にあるわけです。

 ただ、実際どこまでの悪影響を与えるのか、紫外線と違ってまだまだ研究段階で、不透明な部分もありますが、いずれにしても、歳をとってから後悔しない為にも、ある程度の知識を持ち、今からでも出来る範囲で予防を行っていくことは必要かと思います。
 例えば・・・ブルーライトを軽減するディスプレイを選んだり、ブルーライトカットの眼鏡を使用したりする。また、特に夜間は画面周囲が暗い環境で直視しないよう、ディスプレイの明るさを暗めに調整し、ホワイトバランス調整が可能なものは青色を抑え赤色を増やすなど、少しでも「ブルーライト」を見ない工夫はいくつも考えられます。

 とはいえ、現代の生活において、ブルーライトを全く浴びずに生活することは現実的に不可能といえます。しかし、意識を持ち工夫すればある程度のコントロールは可能となります。紫外線のように、長い年月にわたり多く浴び続けることで、しわやシミになるのと同じように、長い年月、明るいPCやスマートフォンの画面を直視することで、その蓄積が心配されます。極力「ブルーライト」を照射するデジタルディスプレイを避けて、目の負担を軽減する試みを意識することは将来を思い、健康的に優位に働かせることといえるでしょう。