放送日:2020年9月11日

「続・間接照明・・・その3」

 前々回より、主に住宅照明における「間接照明」の仕組みや考え方についてお伝えしてきましたが、3回目となる今回は「間接照明」を実際に照らす上でのポイントなどお伝えしていきたいと思います。

 間接照明が壁や天井に照らし出す光のグラデーションは見た目にも美しく、空間にとても豊かな表情を作ります。その壁や天井で一度、反射した間接光が柔らかに周囲を包み込み、落着いた居心地の良い空間に演出してくれます。このような演出性の高さから近年、質の高い照明方法として重宝され、店舗や様々な建物で多く取り入れられ、住宅照明においても取り入れられる事例が多くなっております。

 住宅の新築や改装を行う際、一般的に照明工事は床、壁、天井などの内装工事がある程度終わった段階で照明器具の取付を行います。しかしながら、住宅照明でよく使われる天井に直に取付ける天井照明などとは違い、間接照明は「建築化照明」ともいわれており、基本的には光源となるランプや器具自体が生活目線に入らないように、天井や壁に掘り込んだ溝や幕板、または受け具などで、器具ごと隠す様に設置します。その為、完成後の照明イメージを工事の始まる前の設計段階で、設置場所、その施工的な納まりや使用する照明器具の選定などを明確に決めておかないと、この質の高い照明方法も思ったような効果が出ず、ひとつ間違えると残念な照明となってしまう恐れがあるのです。

 例えば「間接照明」は天井照明の様に直接、天井から作業面や床を照らす照明ではなく、一度、壁や天井に光を反射させ照らす照明方法の為・・・器具自体の明るさというよりも、その反射させる面となる壁や天井の仕上げ材の仕様によって、空間の明るさ感が大きく異なることになります。光が当たる面が濃い色のクロスや内装用タイル、濃い茶の板貼りなど、暗い色の仕上げだと、光が多く吸収させてしまい反射効率が下がるため、面に光だまりができたり、また光沢のある素材を使用した場合は隠したはずの光源が写り込んだりして、見た目にも良いとはいえず、思ったような演出効果は得られません、・・・その為、光を反射させる面には、白に近い明るめな色を選んだり、表面の質感も光沢のないものを選ぶと、「間接照明」の質の高い「あかり」を活かす良い選択のひとつといえるでしょう。

このように、「間接照明」は照明単体で考えるのではなく、「建築」と一体的に考えて計画を進める必要がある照明方法といえます。
 これから、「間接照明」をご自宅にとお考えの方がいらっしゃいましたら、今回のポイントを参考にしていただき、質の高い「あかりの演出」を楽しんでいただけたらと思います。
 次回は、いくつかの事例を基に具体的な納め方や照らし方のポイントをお伝えできればと思います。