放送日:2020年1月31日

「日本酒と光」

 今回は「日本酒と光」と題しまして、あかりの観点から日本酒の楽しみ方を考えてみたいと思います。

 皆さん日本酒はお好きでしょうか?・・・私は大好きですw

 さて近年、輸出量も大幅に増えており、日本だけでなく世界的にも日本酒を好む人が増えているようです。日本料理にだけでなく欧州の料理に合わせるなど楽しみ方は様々です。
 沢山の光を浴びて育った稲穂から、酒米を丁寧に磨き・精米され、美しい白米となって酒造りが始まります。その後の新酒が出来上がるまでの様々な工程では、温度や湿度を細かく調整しながら進められますが、特に麹を作る工程は良い麹ができれば酒は7割できたも同然といわれるほど重要な工程であり、生きている麹菌にとって過ごしやすい環境は外気や外光を遮断した閉鎖空間となります。 つまり、沢山の太陽の光を浴びて育った稲穂が、光を遮断された影の空間の中で洗練され眠り、光による劣化を防ぐため遮光瓶に入れられ、再び光の中に現れるのは、日本酒という姿になって私たちの目の前に注がれる時になります。
 
 人によっては器に注がれたお酒を目で見た瞬間からお酒を楽しんでいると言われ、日本酒が注がれる器から受けるイメージは少なからず美味しさに影響を与えます。
 先日、秋田を訪れた際、それぞれの日本酒に合わせ様々な器で楽しむ機会に恵まれました。・・・日本酒を目でも美味しく味わう為の酒器には、素材、形、色など様々あり、光を受けて透明な日本酒が注がれる様は、酒器によって様々な美味しさを楽しめました。

・錫の素材では、雑味ない口当たりとともに、上品な輝きで透明なお酒が引き立ちます。
・漆の酒器は、漆独特の光沢と赤や黒の深い光沢が、風味やコクをより引き立てます。
・他にも、切子の器は、美しい色やカットと注いだお酒によって光が溶け合いキラキラと揺らめき、華やかに演出してくれますし、陶器の酒器は、色や形の種類も豊富でお酒の相性に合わせ色々選べる楽しみがあります。

 これほど日本酒を様々な器で、光の演出を楽しんできた日本の文化に誇りを感じ得ます。
 
 日本酒の微妙な色合いを見比べて、光による日本酒の見え方を様々な器に活かして味わい楽しみ方も、日本人ならではの風流な楽しみ方のひとつではないでしょうか?