放送日:2019年2月22日

「ウォールウォッシャ照明」

 今回は「ウォールウォッシャ」という照明手法について考えてみたいと思います。
 「ウォールウォッシャ照明」をご存知でしょうか?・・・一般的には、あまり馴染みのない言葉となりますが、これは壁面を光で洗い流すように均一に明るく照明する手法をいい、照明器具の配置も部屋の中央や全体に均一に広げて配置するのではなく、均等間隔に並べたダウンライトなどを、あえて壁面に近い場所に寄せて、より壁面を均一に明るく見せるように演出する照明方法のひとつとなります。
 何故このような壁面照明が考えられたかというと、私たちの生活視線の多くが鉛直面であるからです。つまり床面に対して垂直な面、壁面が通常視野で多く入るため、壁面を明るくすることで空間全般の明るさ感を高めることができるからです。

 もともとは天井高さのある大きなホテルやオフィスビル、また公共施設のエントランスロビーの壁面などに使用されている手法で、空間の広がりを強調するために効果的な照明とされてきました。
 その為、住宅のような比較的に小さな空間では「ウォールウォッシャ」の効果が得られにくいことから、今まではほとんど使われておりませんでしたが、最近では、仕切りをなくしてLDKなどを一体的な空間として見せたり、広い間取りのリビングルームも増え始めていることで、この「ウォールウォッシャ照明」の方法が、住宅の照明手法としても普通に取り入れられ演出されてきています。

 このような「ウォールウォッシャ」を行うのに使用する専用の器具で、「ウォールウォッシャダウンライト」があります。通常、天井に器具を取付けた場合、取付位置の真下に向けて光が照射されるのですが、このダウンライトは反射鏡の一部が加工され、光の照射方向をより壁面に向け照射できるような構造となった器具で、より壁面に有効な光があたるようになります。
 このような専用器具に合わせ全般照明との明るさの調和、また照らされる壁面の仕上げに配慮するなど、「ウォールウォッシャ照明」の特性を引き出す方法により、照明計画に意図を持たせ「ウォールウォッシャ照明」を取り入れることで、空間に広がりが生まれ、省エネの上、高級感も高まります。
 
 特にこれから新築や改装をお考えの方は、ワンランクアップした雰囲気づくりの方法のひとつとして、ご検討されてみてはいかがでしょう。