放送日:2018年10月12日

「後(のち)の月」

 皆さんの中で今年、お月見をされた方はいらっしゃいますでしょうか?
 お月見は主に秋のこの時期に見ることができる綺麗な名月を愛でる行事として、日本では古く平安時代から続く日本の伝統的な行事のひとつといえます。

 大陸から伝わったお月見が平安貴族の宴として楽しまれるようになり、やがて庶民にも月見が広がると、秋の収穫時期と重なることで、実りに感謝する行事として広く伝わっていったとされ、お月見にススキを供えるのも実って垂れ下がった稲穂を模したとされています。
 お月見といえば一般的には旧暦8月15日にあたる「十五夜=(中秋の名月)」が有名ですが、実は同じように秋の月を鑑賞する行事に十三夜、十日夜(とかんや)などがあります。特に旧暦9月13日にあたる「後(のち)の月」といわれる十三夜は十五夜に次いで美しい月だといわれ、日本では昔からとても大事な行事とされてきたようです。
 十五夜のお月見が中国伝来なのに対して、「十三夜」は日本で生まれた風習で、どちらか一方しか月見をしないことを「片月見」「片見月」といい、昔から日本では縁起が悪いとされています。

 私ことながら2日前から良い天気に恵まれ楽しみにしていた今年の十五夜でしたが、残念なことに当日、厚い雲に覆われ富山では見ることは叶いませんでした。そこで、今年は10月21日の「十三夜」に望みを託して、秋の美しい月の観賞「お月見」を楽しみたいと思います。
 先程、「片見月」は縁起が悪いとお伝えしましたが、実はある逸話がもとで、江戸時代に吉原遊郭で十五夜に来たお客に「片見月は野暮よ」といい、十三夜も来てもらう為の客寄せのひとつが元になったとも言われています。ですから、あまり気にされずにお月見を楽しまれても良いと思います。
 ところで、なぜ一年通して見ることのできる月あかりの中で、この秋の月が特に綺麗に見れるかご存知でしょうか?
 単に心理的な事だけではなく、いくつかの科学的な理由があるのです。
 一つ目は、大陸からの風により比較的に空気が乾き、空気中の水蒸気が少ないということがあります。その為、大気にボヤけることがなくクッキリとした月が見れます。また、月の高さも理由に挙げられます。冬は高く見づらく寒い、夏は低い位置にきますが、地表付近の明かりが邪魔して光が吸収されどうしても暗くなってしまいます。
 このことからも、月が鑑賞するのに適度な高さとなる「春」と「秋」ということになりますが、「春」はよく「おぼろ月夜」といわれるように、空気中のチリや花粉(黄砂等)が多い季節でもあり、その為、年間で一番綺麗な月が見える季節は、実は「秋」という結論になるわけです。
 
 皆さんも今年は、この時期限定の美しい月あかりを眺め、天然の間接照明に癒される贅沢な時間を、ご家族や大切な人とご一緒に楽しんでみてはいかがでしょう。