放送日:2018年9月7日

「演色性って何?」

 今回は光の演色性についてお話できればと思います。
 「演色性」という言葉をご存知でしょうか?・・あまり馴染みのない言葉かと思います。簡単にいえば、光の特性を表す言葉で、ある光による色の見え方のことを言います。

 現在、私たちの生活に欠かすことのできない照明器具やランプなどの人工の光ですが、それらが開発される以前、何十万年も前から人は、太陽の光の中で生活し続けてきました。その為、人間は太陽光の下での物の色の見え方を最も自然な色の見え方として感じる特性が備わっています。
 つまり、自然光により近い見え方になる光を演色性が高い光と表します。これら演色性の度合いを示すのにRa100を最大値とした平均演色評価数という数値が用いられ、照明用光源の性能を示す一つの指標となっています。
現在、日本ではJISの照明基準総則によるとRa80以上が推奨されており、我々が生活の中で使う一般照明・ランプの光源もこのRa80以上のものがほとんどとなります。

 では、演色性が低い光とはどういったものになるのか?・・実際、明るさがあれば物の色も見えるのが普通です。しかし、明るさがあっても色がよく見えない光源が実在します。
 
 例えば、昔のトンネルなどに使用された黄色・オレンジ色の光で照らす低・高圧ナトリウムランプは演色性がRa20~30程といわれ、トンネル内で車や人を見るとやや灰色がかり見えます。しかし同じ、黄色やオレンジ色の光となる夕方の太陽光に照らされたものは、ナトリウムランプのように違った色に見えることはなく、昼間の青白い光と、夕方の赤味を帯びた光と光の色が相当違っていても、ほとんど物の色は少しも違和感なく白いものは白くと自然らしく認識できることは誰でも経験されていると思います。つまり、演色性の良し悪しは光の色にはほとんど影響はなく、各光源の分光分布の違いによる影響が大きいといえます。