放送日:2018年5月25日

「赤ちゃんと光」

 ここ数年の経過だけをみても住宅用の一般照明においてLED照明が主流の生活光源となるとともに、目に刺激を与えるとされるブルーライトの比率が多いスマートフォンや薄型TVに使用されるデジタルディスプレイの急激な普及によって、我々を取り巻く光環境も急速に変化してきております。
 このような光環境の変化に伴い、目の健康に対しての配慮の必要性が増している現状にあります。
 
 特に成長過程にある子供の目と光の関係は、生涯の目の健康に非常に影響を及ぼす内容であることから、大人が正しい知識を持ち、子供に良い光環境を提供することは子供の健康を守る上でも重要な事柄と考えます。
 今まで、このコーナーでも子供の目と光の関係などのお話を何度かさせて頂いておりますが、子供の成長段階に応じてどのような光環境が望ましいのか、どのような照明が良く注意する点は?など、今一度、子供の目と光の関係について考えていきたいと思います。

 まずは、生後まもない赤ちゃんに最適な光環境とは・・・?
 生まれたばかりの赤ちゃんは、明るさと暗さは区別できるものの視力は0.02程で視界はぼんやりしていますが、1歳頃には視力も0.2程となり物の形の区別ができ始め目で追うようになります。色彩認識についても最初はモノトーンの世界から、「赤」を認識できるようになり、次に「黄」「緑」「オレンジ」といった暖色系統の色を認識したのちに、さらに「紫」「青」といった寒色系統の色を認識していくと言われています。
 このように生後1年ぐらいにかけて五感を感じ取る脳の神経回路が急速に発達していくことになります。この成長過程の中で、五感のひとつ視覚から入る情報はとても多く、その外部刺激となる目から入る光の情報は脳の健やかな成長に密接に関わる為に、最適な光環境づくりは非常に大切な事柄といえます。
 そこで基本となるのは「サーカディアンリズム=体内時計」を整える光環境づくりです。

 「寝る子は育つ」というように成長過程にある赤ちゃんにとっての睡眠はとても重要で、神経系のリズムを育てる質の良い睡眠を誘う光環境づくりはとても重要となります。
 人は朝・昼は明るく、夜は暗くといった太陽の軌跡の中で生活してきたことで、それらに合わせた光環境の中で生活することが健康的にも優位に働くとされます。その為、現代のような照明で夜も昼間のように白く明るくした環境に置かれる事は、赤ちゃんにとって適切な光環境とはいえません。リズムの良い質の高い睡眠を取らせる為には、太陽が沈むように夕方からは赤味を帯びた電球色の照明として明るさを徐々に落としていき、最後には真っ暗な部屋で寝かすことが理想的な環境といえます。

 例えば、常に仰向けで寝ている生後まもない赤ちゃんにとって、部屋の明るい天井照明は、常に昼間太陽を見続けているような環境といえます。生後3~4か月までの赤ちゃんは「強制注視」という性質をもっており、天井吊りの照明器具の豆電球のようなわずかな光であっても、凝視してしまい、刺激となって睡眠の質を落としてしまう結果になります。
もし夜間常夜灯を点けるのであれば、コンセント式の足元灯やクリップ式のスポットライトを天井に向けるなどの対策や、普段から赤ちゃんの目に直接光が入らないようにする工夫に心がけたいものです。

 人の体内時計は母親のおなかの中にいる時から作られはじめ、生後6か月あたりで整えられるといわれています。この間にある程度生活リズムを整えてあげないと、その後、夜泣きが頻繁に起こったり、乳児から幼児へ成長していく過程においても寝つきが悪くなったり、健康面でも悪影響を与える恐れがあるので注意したいものです。
 浅い眠りで昼も夜も関係なく寝たり起きたりする赤ちゃんの育児はとても大変な事です。
 
 連日夜泣きされたりすると親にとってはとても辛いことです。しかし、夜泣きしなければならない状況下におかれた赤ちゃんは、親以上に辛いのだと思います。子供に応じた光環境を正しく整理・改善してあげて、健やかな成長を促して快適に生活できるようにしてあげたいものですね